S&P500などのインデックスを対象としたインデックス投資の人気が高まってきています。
株価予測モデルの一つに幾何ブラウン運動モデルがあります。
幾何ブラウン運動モデルでは過去の年平均リターンとリスクから、
将来のインデックスの値を予測します。
ここでは、幾何ブラウン運動モデルを用いたモンテカルロシミュレーションでの、
期待リターンの確率分布を確認できます。
ただし、幾何ブラウン運動による予測は、年平均リターンとリスクが
将来にわたって同じであるという仮定の下での予測となりますが、
これらが将来にわたりが同じである保証はないため、
必ず予測の通りになるわけではありません。
あくまで参考程度としてください。
期待リターンのモンテカルロシミュレーション
使い方
確認したいインデックスの年平均リターン(Average Annual Return)と
リスク(Risk)を確認してテキストボックスに入力してください。
レバレッジをかけた場合のリターンを確認したい場合は、
倍率をレバレッジ(Leverage)のテキストボックスに入力してください。
入力すると横軸を経過年数として、
株価の変化をモンテカルロシミュレーションで計算した結果が表示されます。
表示パターン数でグラフに表示するシミュレーション結果のパターン数を変更できます。
参考として、以下に主なインデックスの年平均リターンとリスクを示します。
リターン (%) | リスク (%) | レバレッジ (倍) | |
---|---|---|---|
MSCI ACWI (全世界株) | 8.99 (過去10年) | 14.74 (過去10年) | 1.0 |
S&P500 | 9.79 (過去10年) | 15.13 (過去10年) | 1.0 |
NASDAQ100 | 17.91 (過去10年) | 18.8% (過去10年) | 1.0 |
NASDAQ100 2倍 (レバナス相当) | 17.91 (過去10年) | 18.8% (過去10年) | 2.0 |
期待リターンの確率分布のモンテカルロシミュレーション
使い方
計算に少し時間がかかるので表示まで時間がかかる場合があります。
確認したいインデックスの年平均リターン(Average Annual Return)と
リスク(Risk)を確認してテキストボックスに入力してください。
レバレッジをかけた場合のリターンを確認したい場合は、
倍率をレバレッジ(Leverage)のテキストボックスに入力してください。
横軸を期待リターンとして、指定した経過年数での期待リターンの確率分布を表示します。
グラフには確率分布の中央値と最頻値もラインで表示しています。
グラフにカーソルを合わせると中央値と最頻値の具体的な値が表示されます。
シミュレーション回数を増やすと確率分布がよりきれいに描けるようになりますが、
時間がかかりますので注意してください。
モンテカルロシミュレーションで使用している計算式
レバレッジなしの場合
幾何ブラウン運動による株価予測のモデルでは、
株価 \( S \) は、株価の初期値を1とした場合、
以下の幾何ブラウン運動の方程式に従うと仮定します。
\[ \mathrm{d} S = \mu S \mathrm{d} t + \sigma S \mathrm{d} B \]
ここで、
\( \mathrm{d} S \) は株価の増分
\( \mu \) は年平均リターン
\( \sigma \) はリスク(ボラティリティ、標準偏差とも呼ばれます。)
\( \mathrm{d} B \) はウィーナー過程の増分(株価のランダムな増減)
を表します。
この式を解くと、時間が \( t-1 \) から \( t \) へ経過した後の株価 \( S_t \) は、
時間が \( t-1 \) での株価 \( S_{t-1} \) を用いて、以下で表せます。
\[ S_t = S_{t-1} \exp \left\{ \left( \mu – 0.5 \sigma ^2 \right) \delta t + \epsilon \sqrt{ \delta t } \sigma \right\} \]
ここで、 \( \epsilon \) は平均0、標準偏差1の正規分布を持つ確率変数です。
\( \delta t \) は \( t-1 \) から \( t \) までの経過時間です。
期待リターンのモンテカルロシミュレーションでは上記の式について、
1日ずつ最大経過時間まで計算を行っています。
期待リターンの確率分布のモンテカルロシミュレーションでは、
1日ずつ経過時間までシミュレーション回数分計算を行って、
経過時間でのリターンをヒストグラムとして表示しています。
レバレッジありの場合
幾何ブラウン運動モデルでレバレッジを考える場合、
レバレッジ \( L \) は年平均リターンとリスクに対してかかってくるため、
年平均リターン \( \mu \) とリスク \( \sigma \) は
それぞれ \( L \mu \) と \( L \sigma \) となります。
時間が \( t-1 \) から \( t \) へ経過した後の株価 \( S_t \) は以下となります。
\[ S_t = S_{t-1} \exp \left\{ \left( L \mu – 0.5 L^2 \sigma ^2 \right) \delta t + \epsilon \sqrt{\delta t} L \sigma \right\} \]
経過年数ごとの期待リターンの中央値と最頻値の推移
経過年数ごとの期待リターンの中央値と最頻値の推移は下記の記事にまとめています。