幾何ブラウン運動モデルによる株価の期待リターンの計算

image: invastment eye catch of gbm calc 投資

2024年1月から新NISAが始まり、

全世界株式 MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックスや

S&P500を対象としたインデックス投資の人気が高まってきています。

株価予測モデルの一つである幾何ブラウン運動モデルを使うと、

過去の年平均リターンとリスクから将来のインデックスの値を予測できます。

ただし、幾何ブラウン運動による予測は、年平均リターンとリスクが

将来にわたって同じであるという仮定の下での予測となりますが、

これらが将来にわたりが同じである保証はないため、

必ず予測の通りになるわけではありません。

あくまで参考として、期待リターンの確認がしたい人は、

期待リターンを計算してみてください。

幾何ブラウン運動の期待リターン計算

使い方

確認したいインデックスの年平均リターン(Average Annual Return)と

リスク(Risk)を確認してテキストボックスに入力してください。

レバレッジをかけた場合のリターンを確認したい場合は、

倍率をレバレッジ(Leverage)のテキストボックスに入力してください。

入力すると横軸を経過年数として、各経過年数での期待リターンの確率分布が持つ

Mode(最頻値)とMedian(中央値)のグラフが表示(更新)されます。

期待リターンの確率分布の95%信頼区間(95% confidence interval)を表示したい場合は、

「show 95% confidence interval」のチェックボックスにチェックを入れてください。

最頻値、中央値ともに増加傾向にある場合は、

長期投資をしたときにリターンが増加していくことが予想されます。


参考として、以下に主なインデックスの年平均リターンとリスクを示します。

リターン (%)リスク (%)レバレッジ (倍)
MSCI ACWI (全世界株)8.99 (過去10年)14.74 (過去10年)1.0
S&P5009.79 (過去10年)15.13 (過去10年)1.0
NASDAQ10017.91 (過去10年)18.8% (過去10年)1.0
NASDAQ100 2倍 (レバナス相当)17.91 (過去10年)18.8% (過去10年)2.0

幾何ブラウン運動の期待リターンの計算式

レバレッジなしの場合

幾何ブラウン運動による株価予測のモデルでは、

株価 \( S \) は、株価の初期値を1とした場合、

以下の幾何ブラウン運動の方程式に従うと仮定します。

\[ \mathrm{d} S = \mu S \mathrm{d} t + \sigma S \mathrm{d} B \]

ここで、

\( \mathrm{d} S \) は株価の増分

\( \mu \) は年平均リターン

\( \sigma \) はリスク(ボラティリティ、標準偏差とも呼ばれます。)

\( \mathrm{d} B \) はウィーナー過程の増分(株価のランダムな増減)

を表します。

このとき、時間 \( T \) が経過した後に、

株価が \( x \) となる確率 \( f(x) \) は、以下で表されます。

\[ f(x) = \frac{1}{ x \sqrt{2 \pi \sigma ^2 T}} \exp \left\{ – \frac{ \left\{ \log x – \left( \mu – \frac{\sigma ^2 }{2} \right) T \right\} ^2 }{2 \sigma ^2 T} \right\} \]

この確率分布(確率密度関数) \( f(x) \) の

最頻値 \( Mode \) 、中央値 \( Median \) は下記で表されます。

\[ Mode = \exp \left( \mu – \frac{3}{2} \sigma ^2 \right) T \]

\[ Median = \exp \left( \mu – \frac{1}{2} \sigma ^2 \right) T \]

また、95%信頼区間は下記となります。

\[ \exp \left\{ \left( \mu – \frac{1}{2} \sigma ^2 \right) T – 1.96 \sigma \sqrt{T} \right\} < S < \exp \left\{ \left( \mu – \frac{1}{2} \sigma ^2 \right) T + 1.96 \sigma \sqrt{T} \right\} \]

上記の最頻値、中央値、95%信頼区間を今回の計算で使用しています。

レバレッジありの場合

幾何ブラウン運動モデルでレバレッジを考える場合、

レバレッジ \( L \) は年平均リターンとリスクに対してかかってくるため、

年平均リターン \( \mu \) とリスク \( \sigma \) は

それぞれ \( L \mu \) と \( L \sigma \) となります。

レバレッジありの場合の、最頻値 \( Mode\) 、中央値 \( Median \) は下記となります。

\[ Mode = \exp \left( L \mu – \frac{3}{2} L^2 \sigma ^2 \right) T \]

\[ Median = \exp \left( L \mu – \frac{1}{2} L^2 \sigma ^2 \right) T \]

また、95%信頼区間は下記となります。

\[ \exp \left\{ \left( L \mu – \frac{1}{2} L^2 \sigma ^2 \right) T – 1.96 L \sigma \sqrt{T} \right\} < S < \exp \left\{ \left( L \mu – \frac{1}{2} L^2 \sigma ^2 \right) T + 1.96 L \sigma \sqrt{T} \right\} \]

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