金ETFへの投資を考えていて、どの銘柄を買えばいいのか悩んでる方も多いと思います。
この記事では、金ETFの全4銘柄を比較しながら、以下のような疑問にお答えします。
・金ETFの銘柄は何を選べばいいの?
・長期投資向けの金ETFは?
理由とともに長期投資向けの銘柄のを確認しますので、各銘柄の特徴を理解して検討をしてみてください。
金ETFとは
金ETFは金の価格と連動するように設計されているETFです。金に直接投資をしなくても、金ETFに投資を行うことで、金への投資と同様の効果を得ることができます。
ETFは Exchange Traded Fund の略称で、日本語では上場投資信託といわれます。金ETFは金に投資を行うファンドで、証券取引所に上場されていて、株式と同様に取引をすることができます。
金ETFは現物の金を保有することで金価格と連動するように設計されているものと、金先物を組み入れることで金価格と連動するように設計されているもの(先物型)があります。
金先物の価格は金の現物価格と必ずしも連動しません。金先物を組み入れている金ETF銘柄は、長期的にみると、金の価格と乖離した値動きとなるため、長期投資には向きません。ETFの価格は減価していきます。
金ETFの特徴
金ETFの特徴としては、手軽さ、流動性の高さ、コストの低さがあります。それぞれについて、金現物と比較しながら確認してみます。
手軽さ
金ETFは株式と同様に売買することができるため、ネット証券会社などからオンラインで売買ができます。金現物の場合は、基本的には店舗に出向いて売買をする必要があるため、金ETFのほうが手軽に売買が可能です。
流動性の高さ
金ETFは株式と同様に売買することができるため、流動性が高いです。また、金ETFの全4銘柄は、すべてマーケットメイクの対象銘柄となっているため、流動性が確保されています。(マーケットメイクとは証券会社が常に売買の気配を提示して、売買を成立させる方法です。)
金現物の場合は売買に予約などが必要な場合もあり、売買が成立するまで時間がかかるため、金ETFのほうが流動性が高いといえます。
コストの低さ
金ETFの信託報酬は0.4%~0.6%と低く抑えられています。売買手数料は売買を行う証券会社に依存しますが、SBI証券や楽天証券では3/4銘柄が売買手数料無料となっており、コストは低いです。
金現物の場合は、少額取引には売買手数料が必要となり、セキュリティも考えて保管を行うには費用が掛かるため、金ETFのほうがコストは低くなります。
金ETF銘柄の比較
金ETFの全4銘柄について、特徴を比較します。(2022/9/30現在の情報です。)
銘柄名 | SPDRゴールド・シェア | NEXT FUNDS 金価格連動型上場投信 | 純金上場信託(現物国内保管型) | WisdomTree 金上場投資信託 |
---|---|---|---|---|
銘柄コード | 1326 | 1328 | 1540 | 1672 |
対象指標 | 金地金価格(LBMA金価格) | 1グラム当たりの円表示の金価格(ロンドンにおけるロンドン渡し金価格(1トロイオンス当たりの米ドル建 ての金価格)に円換算為替レートを乗じて得た額を、1グラム当たりの価格に換算して算出) | 金 | 金 |
管理会社 | ワールド・ゴールド・トラスト・サービシズ・エルエルシー | 野村アセットマネジメント | 三菱UFJ信託銀行 | ウィズダムツリー・マネジメント・ジャージー・リミテッド |
売買単位 | 1口単位 | 10口単位 | 1口単位 | 1口単位 |
信託報酬 | 0.4% | 0.55% | 0.44% | 0.39% |
純資産総額 | 73,115 億円 | 94 億円 | 1,842 億円 | 記載なし |
ファンド組入銘柄 | 金:100.03% | 金先物:99.90% | 金:100.00% | ロンドン地金市場協会(LBMA) の規格にもとづく金地金:100.00% |
長期投資向け | 〇 | × | 〇 | × |
マーケットメイカー | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
SPDRゴールド・シェア(1326)
SPDRゴールド・シェアは長期投資向けの投資対象として最有力な銘柄になります。
この銘柄は、金を保有することで金価格と連動する設計となっています。
日本取引所グループで長期投資向けの銘柄に指定されています。
SPDRゴールド・シェアの概要を以下にまとめます。(2022/9/30現在の情報です。)
銘柄名 | SPDRゴールド・シェア |
銘柄コード | 1326 |
対象指標 | 金地金価格(LBMA金価格) |
管理会社 | ワールド・ゴールド・トラスト・サービシズ・エルエルシー |
売買単位 | 1口単位 |
信託報酬 | 0.4% |
純資産総額 | 73,115 億円 |
ファンド組入銘柄 | 金:100.03% |
長期投資向け | 〇 |
マーケットメイカー | 〇 |
金地金価格(LBMA金価格)は世界標準となっている金価格で、ロンドンでの金現物取引価格となります。
NEXT FUNDS 金価格連動型上場投信(1328)
NEXT FUNDS 金価格連動型上場投信は、先物型のETFとなっています。
こちらの銘柄と、SPDRゴールド・シェアとの主な違いは、先物型であるかどうかです。
先物価格と対象としている指標の値動きは乖離する可能性があるため、長期投資には向いていない銘柄となります。
長期的には金の価格とETFの基準価格の動きが乖離する場合がある(ETFの方が価値が下がる場合がある)ことに注意が必要となります。
NEXT FUNDS 金価格連動型上場投信の概要を以下にまとめます。(2022/9/30現在の情報です。)
銘柄名 | NEXT FUNDS 金価格連動型上場投信 |
銘柄コード | 1328 |
対象指標 | 1グラム当たりの円表示の金価格(ロンドンにおけるロンドン渡し金価格(1トロイオンス当たりの米ドル建 ての金価格)に円換算為替レートを乗じて得た額を、1グラム当たりの価格に換算して算出) |
管理会社 | 野村アセットマネジメント |
売買単位 | 10口単位 |
信託報酬 | 0.55% |
純資産総額 | 94 億円 |
ファンド組入銘柄 | 金先物:99.90% |
長期投資向け | × |
マーケットメイカー | 〇 |
純金上場信託(現物国内保管型)(1540)
純金上場信託(現物国内保管型)は「グラム・円」単位の金の理論価格との連動を目指すETFとなっています。
SPDRゴールド・シェアがロンドンの金地金価格と連動しているのに対して、こちらの銘柄は大阪取引所の金の先物価格から現物価格の理論値を算出して指標価格としています。
こちらの銘柄は、指標価格を先物価格から算出していますが、金を保有することで金価格と連動する設計となっており、先物型のETFではありません。
こちらの銘柄も、SPDRゴールド・シェアと同様に、日本取引所グループで長期投資向けの銘柄に指定されています。
純金上場信託(現物国内保管型)の概要を以下にまとめます。(2022/9/30現在の情報です。)
銘柄名 | 純金上場信託(現物国内保管型) |
銘柄コード | 1540 |
対象指標 | 金 |
管理会社 | 三菱UFJ信託銀行 |
売買単位 | 1口単位 |
信託報酬 | 0.44% |
純資産総額 | 1,842 億円 |
ファンド組入銘柄 | 金:100.00% |
長期投資向け | 〇 |
マーケットメイカー | 〇 |
WisdomTree 金上場投資信託(1672)
WisdomTree 金上場投資信託は外国籍の金ETFです。
こちらの銘柄は、金を保有することで金価格と連動する設計となっていますが、日本取引所グループで長期投資向けの銘柄には指定されていません。
他の3つの銘柄と違って、外国籍のETFとなっているため、外国証券取引口座の開設が必要になります。
WisdomTree 金上場投資信託の概要を以下にまとめます。(2022/9/30現在の情報です。)
銘柄名 | WisdomTree 金上場投資信託 |
銘柄コード | 1672 |
対象指標 | 金 |
管理会社 | ウィズダムツリー・マネジメント・ジャージー・リミテッド |
売買単位 | 1口単位 |
信託報酬 | 0.39% |
純資産総額 | 記載なし |
ファンド組入銘柄 | ロンドン地金市場協会(LBMA) の規格にもとづく金地金:100.00% |
長期投資向け | × |
マーケットメイカー | 〇 |
金ETF投資の方法
金ETFはSBI証券や楽天証券などの、ETFを扱っている証券会社で売買できます。ETFの売買手数料は証券会社ごとに異なります。主な証券会社の売買手数料について以下で比較します。
SPDRゴールド・シェア | NEXT FUNDS 金価格連動型上場投信 | 純金上場信託(現物国内保管型) | WisdomTree 金上場投資信託 | |
---|---|---|---|---|
SBI証券 | 無料 | 無料 | 無料 | 有料(プラン等で変化) |
楽天証券 | 無料 | 無料 | 無料 | 有料(プラン等で変化) |
税金
ETFで得た利益に対する税金は株式と同様に課税されます。
ETFの売買で得た利益は譲渡所得となり、税率は20.315%です。
ETFの分配金で得た利益は配当所得となり、税率は20.315%です。
まとめ
金ETFの全4銘柄について比較を行いました。
金ETFには手軽さ、流動性の高さ、コストの低さという特徴があります。
長期投資向けの銘柄は、SPDRゴールド・シェアと純金上場信託(現物国内保管型)になります。
その他の銘柄は、長期投資目的であれば避けたほうがいいでしょう。
SPDRゴールド・シェアと純金上場信託(現物国内保管型)では、SPDRゴールド・シェアの方が信託報酬が安いため、SPDRゴールド・シェアの方が最有力な候補になります。
各銘柄の特徴を理解して検討をしてみてください。